Mark Hammer's Blog

SalesforceやTrailheadに関する情報を投稿しているブログです。

Spring'21から使えるダッシュボードのURLパラメータフィルターの制約がレポートより厳しい話

はじめに

本投稿の基となったのはこちらの投稿です。(お役立ちコンテンツの数々、いつも見ております。) sf.forum.circlace.com

簡単に言うと、Spring'21からダッシュボードもレポート同様、URLパラメータによるフィルター指定ができるようになった、とリリースノートにはあるのですが、期待通り動作しないという話です。

Spring'21 リリースノート:検索条件 URL パラメータを使用したダッシュボードの結果の保存 より

Lightning Experience でダッシュボードを表示するたびに、同じ検索条件を設定する必要はありません。検索条件パラメータを含むカスタム URL を作成します。これにより、URL にアクセスしたときに、検索条件がすでに設定された状態でダッシュボードが開きます。たとえば、各取引先に異なる URL を使用して商談フェーズダッシュボードをカスタマイズしたり、取引先所有者またはリードソースのカスタム URL を作成したりできます。

最初に見たときは Idea Exchange でも「プレリリース環境で動かない」という投稿があったので未リリースなのかな、と思ったのですが、その後Salesforce担当者から使えるようになったとの投稿がありましたので、実際の動作を調べてみました。

実際の動作

結論から言うと、ダッシュボードのURLパラメータによるフィルターはリリースノート通りに動くのですが、レポートより制約が強い形でした。
具体的な動作の差は以下の通りです。

  • レポート
    • 検索条件の値の部分をfv0, fv1, ...パラメータで指定する。fv0=...の値の部分は何を入れてもよい。*1
  • ダッシュボード
    • 検索条件の値の部分をfv0, fv1, ...パラメータで指定する。fv0=...の値の部分はダッシュボードで設定した検索条件値しか許可されない。それ以外の値を入れると "This filter URL is invalid." エラーになる。

動作確認

以下は2021/2/1時点のSpring'21プレリリース環境で試しています。

レポートの場合

まず、フェーズと取引先名を検索条件としたレポートを作成します。

このレポートのURLに、 &fv0=Closed%20Won&fv1=Edge を追加すると、以下のようにURLパラメータを検索条件に反映したレポートが表示されます。

ダッシュボードの場合

ダッシュボードの場合、まず編集画面で検索条件を設定します。
ここでは、以下2つの条件を設定します。

  • フェーズ:「"Prospecting"と一致する」、「"Qualification"と一致する」の2つ
  • 取引先名:「"United"を含む」の1つ

フェーズの検索条件設定

取引先名の検索条件設定

次に、ダッシュボードのURLに&fv0=Prospecting&fv1=United を指定すると、指定された検索条件に沿ったダッシュボードが表示されます。

一方、ダッシュボードに設定していない検索条件、例えば&fv0=Closed%20Wonを指定すると以下のように "This filter URL is invalid. Please try again." が表示されます。

&fv0=Closed%20Won を指定したい場合は、事前にフェーズの検索条件に Closed Won を追加する必要があります。

おわりに

ダッシュボードのURLパラメータフィルターは確かに使えるようにはなっていましたが、レポートほどの自由度はありませんでした。
これは複数のコンポーネントを制御するダッシュボードでは、レポートほどの自由度を持たせることができなかったからかもしれません。
とは言っても検索条件さえ設定すれば期待通り動作しますので、従来より使いやすくなったとは言えるでしょう。

*1:スペースを"%20"に、といったパーセントエンコーディングは必要です